ポヤトス監督の就任後、苦手としてきた対戦相手との負の歴史にピリオドを打ったり、攻撃面で狙いのある崩しを見せたりとガンバは着実に成長を見せてきた。
二年目を迎えたポヤトス体制下では坂本や美藤ら若手も台頭中。そんなガンバが未だ解消しきれていない課題の一つが3バックの攻略である。
ボールを動かしながら相手ゴールに迫るガンバに対して、名古屋は堅守をベースにシンプルだが鋭い縦への速さを前面に押し出してくる相手である。
「相手はボールを持たない訳ではないが、簡単なプレーを仕掛けてくる」（ポヤトス監督）。

対照的なスタイルはデータが物語る。シュート数とドリブルの回数はそれぞれリーグワーストの20位で、パスとクロスの本数も16位。決してボールのつなぎにこだわっている訳ではない名古屋だが、セットプレーではガンバを倍上回る14得点、30m以上のパスから3得点と明確な武器を持っている。
「忍耐強くスペースが空くのを待って突いていきたい」（ポヤトス監督）。鍵になるのは粘り強く相手の3バックをこじ開ける作業である。「相手を押し込む状況が長くなるかもしれないので、サイドの選手から相手を剥がせるシーンがあれば状況は変わる」と話すのは川崎F戦でもサイドで鋭い動きを見せた山下だ。

宇佐美に次ぐ5アシストを決めている山下だが、縦への突破だけでなく、コンビネーションでの崩しも意識。「相手の3バックは上のボールには強いが横への揺さぶりには弱い。逆に僕らの強みは横の動きにあるので、相手の弱みを突いていきたい。僕らサイドの選手がドリブルやスペースへのランニングを見せたい」とアシストだけでなく、リーグ戦での初ゴールも意識する。

現在、リーグ戦では2試合続けて敗れている名古屋だが、その直前の3試合は磐田と川崎F、新潟に対していずれも複数得点を奪っての完封勝ち。クリア数はリーグ4位、タックル数も6位と守備における個の強さを持っている。
自陣ゴール前での粘り強い守備に加えて、今季限りでの退団が決まっているGKのランゲラックを擁する相手守備陣を打ち破る上でやはり、エース宇佐美の輝きは欠かせない。
今季は得意の強烈なフィニッシュだけでなく、札幌戦の逆転ゴールで見せたような華麗なドリブル突破にも輝きを見せている宇佐美だが「もう少し相手ゴール前でのコンビネーションも多く出さないといけないし、もっとゴールに迫るシーンを多くしたい」と話す。

阿吽の呼吸を見せる坂本との連携だけでなく、林がピッチに立てば「2列目の選手がより生きる」（宇佐美）。
名古屋戦を含めて、今季残るリーグ戦の4試合のうち、3バックを採用するのは3チーム。名古屋の固い守りを崩しきれば、3バックへの苦手意識は払拭できるはずだ。

vs名古屋 MATCH ANALYSIS