前節、退場者が出たことによる数的不利やPKの献上などもあって、今季ワーストとなる3失点を喫したガンバだが、チームの守備の方向性はブレていない。
ホームで絶対に勝利が必要となる横浜F・マリノス戦について「先制点を与えないことは全員で集中してやらないといけない」と古巣の攻撃力を知る一森は話すが、その攻撃力はデータが物語っている。
前節終了時点で得点数はリーグ5位だが、シュート数はリーグ2位。クロスの本数はリーグ3位で、パスの本数は4位。ガンバが30m未満のパスから1点しか奪っていないのとは対照的に横浜F・マリノスは11点。最後尾からボールを動かし、そして前線のアタッカー陣を生かすスタイルは、やはり侮れない。

だからこそ不可欠になるのは前線からの効果的な守備である。ポヤトスガンバの強みの一つは、綿密なスカウティングを活かして相手のビルドアップやボールの動かし方を制限することにあるが、ファーストディフェンスを託されることになるのが宇佐美や坂本、山下ら前線のアタッカー陣である。
「サイドのところに追い込んでボールを奪い返すことや、ゴールを決めることが大事になる。そこに集中していきたい」とポヤトス監督は横浜F・マリノス攻略のポイントを明かしたが、今季の横浜F・マリノスは自陣からのビルドアップにやや難がある。もちろん、アンデルソン ロペスというビルドアップの逃げ道も持っているが「横浜F・マリノスはビルドアップの回数が多いからミスが目立っているように見えるが、こちらのプレスを外してきた時の攻撃には迫力がある」（一森）。
守備時には2トップ気味の形を取るガンバの前線だが、とりわけトップ下に入る坂本には4-3-3の布陣を採用する相手アンカーを牽制する役割も求められそうだ。

「相手がビルドアップの時に、ファーストタッチでミスをしたところを突くとか、隙はどんどん狙っていきたい。前から2人で追えば、絶対に相手にミスは出るのでそこで、奪い切るようにしたい」と坂本は意気込みを口にするが、一方で夏場のゲームだけにガンバの課題はボールを動かす時間を増やすこと。「相手は調子が悪いかもしれないけど、難しい試合になるかもしれない。僕らがボールを持つことでペースを握りながら試合を進めたい」と坂本は言う。

そして坂本に課せられるもう一つのミッションはフィニッシャーとしての役割だ。4月28日にパナソニックスタジアム吹田で行われた鹿島戦を最後にゴールから遠ざかっているが「ウェルトンがボールを持った時のクロスに対して、ゴール前に入ってくる人数が少ない。僕がニアに入って潰れ役になったり、どんどんゴール前に入ることが必要になる。コンディションはいいのでそろそろ自分のゴールが欲しい（坂本）」と今季4ゴール目を目指す。
ファーストディフェンダーとして攻守両面のタスクを求められるガンバの前線が、横浜F・マリノス撃破のキーマンになる。