アカデミー時代から大阪ダービーの重みと勝つ喜び、勝たなければいけない義務を知る宇佐美にとって、大阪ダービー当日は32歳の誕生日。
「貴史（宇佐美）は、あまり感情を剥き出しにしない選手だが、本当に内に秘める思い、情熱を持っている。彼が楽しめば、チームメイトも楽しめる」とポヤトス監督は今や堂々たるチームリーダーに成長した宇佐美に絶大な信頼を寄せる。

9得点中のレオ セアラの得点力を前面に押し出し、3アシストのルーカス フェルナンデスや2アシストのヴィトール ブエノら新加入組のブラジル人トリオが攻撃の軸となっている相手だが、ガンバの攻撃を輝かせるのはやはり、背番号7の存在だ。
「僕も貴史を必要としているし、チームの誰もが貴史を必要としている」と前線の軸になりつつあるウェルトンも信頼を寄せるが、現在、坂本と並んでチーム最多の3得点、1アシストを決めている宇佐美は、ダービーで勝利の鍵を握る一人である。

「チームとして崩すこともそうだけど、やっぱり自分のところで最大限にタスクを自分に課す。何もないところからゴールを生み出せるのが自分の良さでもあり、強みだと思う」。
今季は前線で泥臭く体を張りながらも、フィニッシュワークだけでなく、タメを作り出したり、宇佐美ならではの決定的なキックでチャンスをお膳立てしているが、最終ラインからボールを動かしてくる相手の弱点も分析済みだ。
「相手の中盤のところに隙があるので、そこで貴史がしっかりと、そのスペースで相手にダメージを与えてくれると思う」（ポヤトス監督）。

相手のドリブルの回数は現在リーグ2位。クリアの数が少なくリーグ16位であることを見ても分かるように、最後尾からのビルドアップを重視している。さらには、新加入の左SB登里が変則的に中央に入り込むなどボール保持を重んじるスタイルだが、ガンバが効果的にボールを奪った瞬間にチャンスはやってくる。
付け込むべきはアンカーを務める田中の両脇に生まれるスペースだが、チャンスメイクだけでなく、ダービーでは自身の得点にもこだわりを持って宇佐美はピッチに立つ。

「僕自身にも最近、得点という数字が出ていないので危機感を持ちたい。ダービーでは自分のところからチャンスが出来るようにしたいし、連携というよりは個で打開するプレーをして勇気づけたい」（宇佐美）。

もちろん、背番号7がピッチ内で示す役割は攻撃だけにとどまらない。プレスバック時に絶妙のスライディングでボールを奪取する上手さでもチームを支えている。
「ダービーでは球際とか試合の入りを間違えないこと。守る時は全員で守る。不恰好かもしれないけど、試合が終わった時に相手よりもユニフォームが汚れていること。それを追究するのが勝利への一番の近道だと思う」（宇佐美）。
アカデミー時代からダービーで勝つことを義務付けられ、トップ昇格後もガンバのプライドを示し続けてきた宇佐美。
「チーム状況が良くない時には勝って一気に切り替えられるパワーがある試合なので、是が非でも勝点3を取りたい」（宇佐美）と勝利だけにこだわってチームの先頭に立つ姿をサポーターに見せる。